長者森養蜂

長者森のはちみつ

岩手の山の小さな蜜蜂たちがせっせと集めた貴重なはちみつ

岩手の山の小さな蜜蜂たちがせっせと集めた貴重なはちみつ

岩手県沿岸南部 大槌町と宮古市の境に長者森があります。

その昔、たくさんの砂金が採れ、長者様のお屋敷があったことから名付けられた長者森。

地元では、縁起のいい土地として親しまれており、義経北行伝説の中で義経が北上する際に立ち寄り、砂金をもらったという話も語り継がれている地域です。

大槌の人々が育んだ木々の花々

雨水や雪解け水が、山を通り大槌の海へと流れていきます。

ずっと昔から大槌の人々は、山を大切にし、手を入れてきました。

山を通って海に流れる水は、とても豊富な養分を含み豊かな漁場を作るからです。そして大切に管理してきた山の木々は、立派な大木へと成長します。

「大木がつける花の蜜は、濃厚で美味しいと云われていましてね。長者森周辺の山は、豊かで大木がたくさんあるんです。だから長者森で採れたはちみつは本当に美味しいですよ。」

そうおっしゃるのは、長者森養蜂代表 藤原勝志さん。

とちの花の蜜

私たちが取材に行ったのは、6月上旬。とちの花のはちみつを採取していました。とちの花のはちみつは、コクがあり、まろやかな甘みが特徴。

この日、採れたてのはちみつをいただきました。これまでに食べたことの無いようなコクがあるのにすっきりとして、本当に優しい味のはちみつでした。生きているはちみつは、これから熟成をしてますます美味しくなっていきます。

自然と一体での作業

たくさんのミツバチがぶんぶんと飛び交う中、巣箱をひとつひとつ開き、薫煙器で煙を吹きかけながら巣板を取り出して行きます。

びっしりと蜜の入った板は、結構重く延々と続くこの作業は、かなりの重労働です。巣板の表面は、蜜蓋でしっかりと覆われていますので、蜜刀を使い蓋を切り離していきます。蜜蓋を切り離した、巣板を遠心分離器にかけると・・・遠心分離器の蛇口を開けると、透明で輝く蜜が流れ出します。

このはちみつの濾過を3回繰り返し、はちみつの生成を行います。

働き蜂の寿命は30日から40日

その30日間で集めることのできる量は、スプーン1杯ほど。1匹の蜂が一生をかけて集めた貴重な蜜を、私たちがいただくということを考えるとスプーン1杯も大切にいただかないといけないという気持ちになります。

ミツバチの行動範囲は半径2km。小さな体で花を求めて飛び回り、目的の花を見つけると八の字ダンスを行い仲間に花がある事を教えます。ミツバチは、一つの花から蜜を採取すると可能な限り、同じ花から蜜を集めるという習性をもっています。なので、ほとんど混じることなく、とちの花、アカシヤ、栗の花と集めることができるのです。

採取場の周りの環境

採取場の周りは、見晴らしがよくとても気持ちのいい場所でした。すぐ近くには、泉もあり大槌川の源流もあります。この水場は、藤原さんの養蜂のお手伝いもしている戸沢さんが丹精込めて作り、手入れをしている場所。大きなコイも泳いでいるんです!

「この木も、あの木も俺が植えたんだよ」「この石は、50年も前にここに運んでね。 こごさ(ここに)座っておじゃっこ (お茶)飲んだりね」

水を多く飲むミツバチの巣箱近くには、きれいな水場が必要です。ミツバチたちが働きやすい環境づくりも養蜂家の大切なお仕事です。ミツバチの蜜を狙って、クマもきます。テンもきます。多くの天敵から守らなければなりません。

採取は、とちなどの花々の開花状況をみながら長者森の南部から北部の小国方面へと移動していきます。

採取は、きれいな水場がある、はち達が働きやすい環境を厳選し設定します。

みつばちの写真

藤原さんのはちみつはたくさんは採れません

なぜなら、自然養蜂による混じりっ気なしの純岩手県産のはちみつだから。その年に採取できる量を、大切にお分けしています。

天候により、花の蜜の量も変わります。天候により、花の蜜の濃度も変わります。

しかし、それが自然からのおすそ分けしてもらう醍醐味です。今年のはちみつは、どんな味?

ミツバチの蜜だからはちみつ

私が幼いころ、学校の帰り道などに、つつじやサルビア、赤ツメグサなどの花の蜜を吸いながら歩いた記憶があります。しかし、その時の花の蜜ははちみつほどの甘さはなかったような・・・

そう、ミツバチが集めた蜜だから、甘いはちみつになるのです。もともと花蜜は、糖度40%ほどのショ糖という成分でできています。ミツバチが巣に花蜜を持ち帰る際に体内に取り込むことで、ハチの消化酵素によってショ糖が「ブドウ糖」と「果糖」に転化されます。

そして巣に戻り、その蜜を他のミツバチに口移しします。その時にもまた転化されていないショ糖が「ブドウ糖」と「果糖」に転化されます。

転化を何度も繰り返した蜜は貯蔵するための小部屋へと運ばれ、はち達の羽ばたきにより水分が蒸発し、糖度80%にまでなります。濃縮した蜜は、貯蔵のためしっかりと蜜蓋をされます。

良薬は口に甘し

ブドウ糖と果糖は、ショ糖が酵素によって分解され、単純糖に転化したものです。このような、これ以上分解されることがない単純糖は体内に入ると短時間で胃腸などの負担なく、吸収されます。はちみつは、この単純糖で組織された、とても合理的な栄養源です。

糖分の摂取量が、気になると思いますが、はちみつには、ブドウ糖より果糖の方が多く含まれていて、果糖はブドウ糖と違い吸収速度がブドウ糖の約半分。吸収によって血糖値が急激に上昇することがありません。また、一度に多量の糖分を肝臓に送り込まないようにハチミツの中の果糖が血糖調整作用を行いコントロールする働きがあります。

驚くことに、はちみつに含まれるミネラルは、カルシウム・鉄・銅・マンガン・リン・硫黄・カリウム・塩素・ナトリウム・ケイ素・マグネシウム・珪酸等と、人間の健康維持に必要なミネラルがほとんど全て含まれています。

また、はちみつには約10種類のビタミンが含まれおり、その量は花の種類によっても違いますが、ビタミンB1・ビタミンB2・ビタミンB6・葉酸・ニコチン酸・パントテン酸・ビオチン・C・K・コリンなどが入っています。

まさに、天然の万能薬ですね!

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