雑穀水あめは、シンプルながらも時間と手間のかかる大変な作業を経て出来上がります。
堀口さんの畑で収穫した無農薬で育てた「いなきび」と「麦もやし」が材料。
麦を3日ほど水に浸し、水を切り、筵の上にその麦を置き1週間ほどかけて発芽させます。それを乾燥させて粉末にしたものが「麦もやしの粉末」です。この麦もやしは、水あめ作りには欠かせません。
お湯を張った大きな鍋に蒸した「いなきび」を移し、「麦もやしの粉末」を混ぜ込んでいき、8時間から10時間寝かせ発酵させます。
このときのお湯の温度によって甘みや色が違ってきてしまうため、温度管理が水あめ作りの一番のポイントだそうです。匠の堀口さんは、温度計を使わずに永年の感覚で見極めます。
さらに、発酵した「いなきび」をざるで漉しゆっくりコトコト。。。20時間煮詰め、やっとで「水あめ」が出来上がるのです。コトコトが重要。火が強くならないように沸騰しないように焦がしてしまわないように、ゆっくりゆっくり煮込んでいきます。
これはまさにスローフードです。
驚くことに4.5キロものいなきびを使って、半分の分量の水あめにしかなりません。貴重な水あめです。
全て手作りでの堀口さんの雑穀水あめが、少し高価なのに大評判になるのも納得がいきます。
味は、お砂糖のようなガツっとした甘みではありません。いなきびの風味をふんわりと感じる、どこか懐かしい優しい甘さです。
同じ水あめでも、堀口さんの水あめの美味しさは、別格!と、わざわざ遠くからお店にこられる人も少なくありません。