• 山で暮らす牛たち
  • 当時は「アウトサイダー」と呼ばれたよ
  • 自力で出産する牛
  • 本当の牛乳の味
  • 愚直に良い物を作るだけ
  • 山地酪農の可能性

山で暮らす牛たち

中洞牧場の光景を初めて見た人は、目を見張るでしょう。 取材に訪れた私たちも驚きました。

「さっ行こうか。じゃあ、乗って」 と、笑顔の牧場長・中洞正さん。登場したのは大きなジープ! 「これじゃないと行けないんです」 と、またまた笑顔の牧場スタッフ・松本さん。 そして中洞さんが運転するジープは斜面をぐんぐん登っていきます。 ある時は丘を飛ぶように越え、またある時は「この先道がないんじゃ・・・?」と思うような急斜面を駆け下り・・・。 私たちはジープにしがみつくばかり。 そして、辿り着いたのはなだらかな中腹。 そこで目にしたものは・・・ 青々とした緑の中、のびのびと暮らす牛たちの姿でした。

ある牛は急斜面に生える木の葉を無心に食べて。 ある牛はなだらかな山肌にごろんと寝そべって。 ある牛はしっかりと立って子牛に母乳を与えて。 思い思いに過ごす牛たち。どの牛ものんびりしていて本当に気持ち良さそう。

牛と言えば牛舎の中で並んでいるか、柵で囲われた平地の牧場にいるか…。 そんなイメージを一新する、中洞牧場の牛たち。 広い山の中で好きなように、自由に暮らしています。 その光景は見ているだけで、心に心地良い風が吹くような、清々しい気持ち良さを感じます。 牛たちは限りなく野生に近い状態ですが、中洞さんの姿を見つけると、まわりに集まってきます。 その様子に、日頃から愛情をかけて育てていることが伺われました。

当時は「アウトサイダー」と呼ばれたよ

日本の酪農の大部分は牛舎で牛を飼い、餌を与え、乳を搾ります。そのスタイルと全く異なり、山間地に牛を放牧して行う酪農―。それが、「山地酪農」です。

中洞牧場の牧場長・中洞正さんは、30年以上前の学生の頃、この「山地酪農」に出会いました。そして1983年に岩泉の山に入植し、山地酪農を実践したのです。 さらに、1年を通して昼も夜も放牧し、自ら牛乳工場を作り直売まで行う「ナカホラ式山地酪農」を確立しました。

中洞さんはその時のことを振り返ってこう話します。

「当時は『アウトサイダー』と言われてね(笑)。冬でも牛が牛舎に入らず、雪が積もった山にいるので「牛がかわいそう」という人もいたよ。山地酪農に対する批判はすごかった。」

厳しい山に放された牛がかわいそう― その声は、従来の日本の酪農の姿から生まれた言葉ではないか、と中洞さんは言います。 「今の日本は乳製品を作る〈酪農〉ではなく、乳を搾るだけの〈乳農〉だ。 乳を搾るためだけの〈搾乳牛〉たちは、狭い牛舎に死ぬまでつながれ、お日様の下で暮らすことはまずできない。毎日空腹かどうか、春か冬かなんて全く関係なく、濃い牛乳をたくさん出すために1年中牛舎の中で配合飼料をたっぷりと食べさせられている。 その配合飼料の中身は、本来草食動物である牛がたくさん食べられない麦やトウモロコシ。それを、げっぷがでるほど食べさせられているんだ…。

そんな人間のために改良された牛を山に放つと、確かに3日と持たずに倒れると思うね。しかし、ここの牛たちは生まれた時から山で育っているから強いよ。食べられる草・食べられない草を見分け、冬になって雪が積もると、集まって暖を取っているんだよ。」

自力で出産する牛

中洞牧場の牛たちは、牛舎で飼育されている牛のようなたっぷりとした重量感は感じられず「引き締まっている」という印象です。 「ここの牛たちは毎日山の中を歩いたり駆け回ったりしているので、脚力があるし、筋力もついているよ。だから、お産も自分の力でできるんだ。」

「えっ!牛は自力でお産ができるんですか! 牛の出産を人間が手伝っている映像をテレビでは良く見ますが・・・」

「助産が必要な哺乳類は人間だけ。他の動物は自力で出産できるんだよ。でも、牛舎の中で飼われた牛は運動不足で太り、出産に耐えられるだけの体にならない。だから獣医さんが立ち会い、数人がかりで子牛を引っ張り出し、さらには母牛に注射や点滴までするんだ。そして、子牛は母牛の初乳を飲む前に引き離され、人の手で育てられる。」

「助産が必要な哺乳類は人間だけ。他の動物は自力で出産できるんだよ。でも、牛舎の中で飼われた牛は運動不足で太り、出産に耐えられるだけの体にならない。だから獣医さんが立ち会い、数人がかりで子牛を引っ張り出し、さらには母牛に注射や点滴までするんだ。そして、子牛は母牛の初乳を飲む前に引き離され、人の手で育てられる。」

中洞牧場では、自然交配・自然分娩・自然哺乳。母牛は人の手に頼らず、自らの力で子供を生み落します。子牛はお腹いっぱい母牛の乳を飲み、栄養を付け、山を駆け回って丈夫に育ちます。

取材中にも母牛のお乳を飲む子牛の姿を見ることができました。子牛は母牛の乳房から口を放さず、いつまでも飲んでいます。時にはどん、と下から乳房を突き上げながら。その力強さには驚いてしまうほど。子牛が体当たりで求める愛情に、母牛は全身で答えているように見えました。

本当の牛乳の味

中洞牧場の牛たちが山から下りて来るのは、お乳を搾ってほしい時。 毎日朝と夕方にやって来て、搾乳後おやつ(砂糖大根の搾りかす・糠、冬は自家製の乾草)を食べ、また山に戻って行きます。 その時に搾乳された生乳が、中洞牧場の牛乳になります。

「うちの乳量は少ないよ」と中洞さん。 それもそのはず。母牛たちは適量の餌を食べ、良く運動し、子牛にたっぷりとお乳をあげるので、お乳が多く出ないことは一度中洞牧場を見学すると分かります。私たちは、牛からその貴重なお乳を分けてもらっているのです。

そして、その牛から搾った原乳を65℃30分で殺菌します。この方法は、「低温保持殺菌」と呼ばれています。

市販の牛乳パックの表示に書いてある殺菌時間を見てみて下さい。スーパーなどで販売している牛乳は、120℃〜130℃で2〜3秒間殺菌する「超高温瞬間殺菌」が主です。100℃を越える高い温度でわずか2〜3秒で殺菌するのですから、加熱による臭いが発生し、それが牛乳特有のものだと思ってしまい、牛乳が嫌いになる人が多いといわれています。 また、焦げ付きを防ぐために脂肪に衝撃を与え、均一化する作業(ホモジナイズ)が行われます。つまり、私たちの口に入るときには自然の乳とかけ離れた状態になっているのです。

中洞牧場の牛乳は、65℃という低い温度で30分間かけて丁寧に殺菌されます。ノンホモジナイズ製法なので牛乳本来の風味がそのまま残っています。超高温殺菌の牛乳と比べると、その違いは明らかです。

取材の日、中洞さんの牛乳を飲みました。 まず、甘いと感じました。それも、やさしくすっきりとした甘さです。 今まで牛乳につきものだと思っていた嫌な臭いは全くなく、クセがないのにふくよかな味。サラッとした口当たり。 濃厚、というわけではないのに飲んだ後には力強い風味が残る、生命力のある牛乳。 「こんな牛乳を飲んだら、牛乳を嫌いにはならないなあ・・・。」 そう思える、素晴らしい牛乳でした。

愚直に良い物を作るだけ

中洞牧場では搾乳から殺菌・加工・商品化まで一貫管理で行われています。 加工場の設計は中洞さん、配管は全てスタッフの方で行ったそうです。これは、現在の日本ではめったにないことです。

日本では、農場などで搾乳した原乳をタンクローリー車が集荷にまわり、大きな牛乳工場で殺菌・加工した後、商品として出荷されることが多いのです。 つまり、牛乳を搾ったところと加工し、出荷するところが全然別なのです。複数の農場の原乳がタンクローリー車の中で混ぜられ、工場で均一に殺菌・加工されてしまうのです。 中洞牧場のように自社で搾乳から加工・商品まで手掛けることができる農場は、極めて稀な存在です。

中洞さんは言います。 「良いものを求めるお客さんが後ろについてくれたから、自分で牛乳工場を作ろうと思ったんだ。 でも、手作りだからこそ、衛生管理はしっかりしなければいけない。商品の衛生検査は徹底的に自社で行う。 搾乳の仕方を工夫したり、パイプラインを毎日解体して隅々まで洗浄して綺麗にしておけば、原乳で大腸菌を0にすることもできるんだよ。」

ほんの少しの小さなミスも見逃さない。妥協、甘えはない。「絶対に良い物を作る。」その信念があるからこそ、責任も重い。

「ただ、愚直に良い物を作るだけです。価値が分かる人に買ってもらえれば良いと思ってやっています。」

物がたくさんあふれている今の世の中では、「本物」に出会うこと自体が難しい。しかし、中洞さんの牛乳はまぎれもなく「本物」。その価値を体験できることは幸せなのだと感じました。

山地酪農の可能性

現在、中洞牧場では、およそ50ヘクタール(50万屐砲發旅大な山に60数頭ほどの牛が暮らしています。 牛たちは山に自生している野シバや野草・木の葉を食べます。排泄物はそのまま肥料になり、植物が成長し、また牛のお腹を満たす・・・というサイクルが繰り返されています。

「野シバは牛の頭数・面積を維持していれば半永久的に保つことができるんだよ。目安は1ヘクタールに1~2頭。牛を放牧しないと林に代わってしまうくらい、日本の山の生産性はすごいんだ!」 と中洞さんは顔を輝かせて言います。 「昭和30年代、日本の山の30%は草原だったというデータもあってね。本来〈山地酪農〉は、日本の自然に沿った牛の育て方だったが、非効率的と言われ少数派になってしまった。」

それは、戦後の日本の林業政策も大きく関係していると言います。

「現在、日本の森の40%が杉などの針葉樹。針葉樹はまっすぐ生えるから木材用の木として戦後に多く植えられたんだ。しかし、針葉樹は実がつかず、動物の餌にならない。また、根が浅く、保水力がない。 反面、広葉樹は根が張り、下草が生え、保水力がある。ちゃんと管理すると木材用としても価値のある木に育つんだよ。そのためには、どの木がどんな木かを考えて間伐し、手入れする必要がある。」

その手助けを行ってくれるのが牛なんだ、と中洞さん。

「木の手入れをするためには、下草を刈り払わなければいけない。その下草を食べてくれるのが、牛だ。牛が下草を食べてくれれば人間が入っていける道ができる。それが山地酪農での牛の働きだよ。 下草が無くなることで間伐や枝打ち作業がしやすくなり林の下に太陽光線が当たり、背丈の低い草が密生してこの草が山の保水力を高めながら再び牛のエサとなる。木もまっすぐ生え、価値のある木になるんだ。日本の林業の再生に山地酪農が果たす役割は大きいと思う。」

実際、中洞牧場では牛が鬱蒼とした笹を食べて綺麗になった場所がいくつもありました。

「秋の紅葉・春の花・・・。山は日本の財産。 牛と人間の力で生物多様性の環境を作る。それを可能にするのが、山地酪農なんだよ。」

中洞牧場では養蜂、炭焼き、自然栽培野菜、キノコ栽培も行われています。 牛乳、蜂蜜、炭、野菜、キノコ。お互いの相乗効果で山全体の価値を高める―。 山地酪農の新たな試みがスタートしています。

中洞牧場 牛乳 500ml

500ml


810円(税込)

中洞牧場 飲むヨーグルト ギフトセットA

ドリンクヨーグルト(プレーン)130ml ×5本・ドリンクヨーグルト(加糖)130ml ×5本


3,500円(税込)

中洞牧場 飲むヨーグルト ギフトセットB

ドリンクヨーグルト(プレーン)500ml ×1本・ドリンクヨーグルト(プレーン)130ml ×3本・ドリンクヨーグルト(加糖)500ml ×2本・ドリンクヨーグルト(加糖)130ml ×2本


4,500円(税込)

中洞牧場 山のきぶどうヨーグルト ギフトセットA

山のきぶどうヨーグルト130ml ×4本・ドリンクヨーグルト(プレーン)130ml ×3本・ドリンクヨーグルト(アガベシロップ)130ml ×3本


3,700円(税込)

中洞牧場 山のきぶどうヨーグルト ギフトセットB

山のきぶどうヨーグルト130ml × 5本・山のきぶどうヨーグルト500ml ×1本・ドリンクヨーグルト(プレーン)500ml ×1本・ドリンクヨーグルト(アガベシロップ)500ml ×1本


5,000円(税込)

中洞牧場 ミルクアイス 6個セット


2,900円(税込)

中洞牧場 ミルクアイス 12個セット


5,300円(税込)

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