「けせん・ありがとうプロジェクト」活動終了のお知らせ

「けせん・ありがとうプロジェクト」は、2013年7月末をもちまして活動を終了させていただきます。なお、手ぬぐい、ハガキ等の商品の受付は、勝手ながら2013年6月末迄とさせていただきます。手ぬぐいをご購入いただいた皆様、私たちの活動を応援して下さったすべての方々へ、心から感謝を申し上げます。「けせん・ありがとうプロジェクト」は2013年7月に活動予定期間の満2年を迎えます。2011年3月11日、東日本大震災により岩手県沿岸地域はご支援をいただきました。このプロジェクトは、私たちが住む気仙(けせん)地方へ支援のために来て下さった方へのお礼に、また支援に来てくださった方自身の記念になる物を作りたいと考え、スタートしました。気仙地方で「手ぬぐい」は、結婚式の際に赤い手ぬぐいを車のドアミラーに結んだり、建前(上棟式)などでは首にまいたりする重要なアイテムでした。支援への感謝の気持ちをこめて作った私たちの「ありがとう手ぬぐい」は、予想をはるかに越え、7,000枚近い数を販売することができました。当プロジェクトは2013年3月末までに、下記自治体・団体へ合計39万円を越える寄付、差し入れをさせていただきましたことを、この場をお借りしてご報告させていただきます。このようにたくさんの寄付をすることができましたのも、私たちの活動を支え、そして販売にご協力いただいた多くの皆様のおかげです。本当にありがとうございました。活動が終了し、最終的に利益がまとまりましたら、これまで同様に寄付をさせていただきます。震災からの復興には、まだ長い時間が必要かと思います。「ありがとう手ぬぐい」が、地域と地域に住む方々の一助となれたのであれば幸いです。ありがとうございました。「けせん・ありがとうプロジェクト」一同 寄付先(一部差入れ先) ・岩手県大船渡市 ・岩手県陸前高田市 ・S36 ・特定非営利活動法人 チャイルド・ファンド・ジャパン ・三陸ボランティアダイバーズ ・特定非営利活動法人 ハビタット・フォー・ヒューマニティ・ジャパン ・NPO法人 うれし野こども図書館 (陸前高田こども図書館 うれし野こども図書館分館 ちいさいおうち) ・陸前高田うごく七夕祭り実行委員会 ・住田町夏祭り実行委員会 ・盛町夏祭り実行委員会 ・三陸・大船渡夏祭り実行委員会 ・一般社団法人オールハンズ(差入れ) ※2013年3月末現在  尚、敬称は省略させて頂いております。ご了承下さいませ。

ことばでは言い尽くせない「ありがとう」を形に表したくて

けせん・ありがとうプロジェクト(大船渡市)

プロフィール:気仙地域の女性7人で立ち上げた「ありがとう」を表現するグッズの制作販売プロジェクト。

気仙地域の女性7人で立ち上げた「ありがとう」を表現するグッズの制作販売プロジェクト。

 今、もっとも伝えたい気持ちのひとつは「ありがとう」。多くの人が大切な人や家、仕事などを失い、地域全体からそれまでの平穏な暮らしが奪われた。打ちひしがれる日々のなか、駆けつけてくれた友人、知人、そしてたくさんのボランティアの人たち…それは呆然と立ち尽くすしかなかった人々にとって、どれだけ力になったことか。
 何度「ありがとう」を言ってもまだ足りない、その感謝の気持ちを形にしたい。そんなことからこのプロジェクトは始まった。

 斎藤さんは、結婚して東京で暮らしていたが、ご主人を東京に残し、お子さんたちとともに大船渡の実家で生活を送っていた。その最中、震災に見舞われ、家族や職場は無事だったものの、3階建ての建物の1階にあった斎藤さんの生活空間は津波でメチャメチャにされた。一度はご主人や弟さんがいる東京に避難するも、数日後、片づけをしようと斎藤さんは一人大船渡に戻る。しかし、家の中やあたりに散乱する瓦礫を前に、最初は途方にくれるしかなかったという。そんなとき助けてくれたのがボランティアの人たちだった。
 「片づけを手伝ってもらい、とてもありがたくて、お礼に何かあげたいと思ってもボランティアの人たちは絶対に受け取りません。でも、私はいなかの人間なので、何か形に表したくて」

 片づけも一段落した7月、斎藤さんのそんな思いはますます強まる。そこで思いついたのが、比較的安価で、さまざまに使える手ぬぐい。この地域では、結婚式のとき車のミラーに赤い手ぬぐいを巻くなどなじみがあるものでもあった。そんな手ぬぐいを地元の人からボランティアの人に「ありがとう」の気持ちに添えて渡したり、あるいはボランティアの人に記念に購入してもらうというシーンを斎藤さんは思い描いた。

たとえ「手弁当」でも、どうしても実現したかった

 活動を開始したのは7月中旬。斎藤さんが思いを実行に移すきっかけとなったのは、陸前高田市や住田町の方からの助言でした。やわらかな口調とは裏腹に熱い思いを持った斎藤さんの話に賛同して、大船渡市に住む同級生ほか30〜40代の女性7人が集まり、「けせん・ありがとうプロジェクト」を立ち上げた。
 このプロジェクトを大船渡だけのものにしたくなかった、と斎藤さん。
 「被害状況を表す数字は、市によって差があります。被害の大きかった陸前高田と少なかった住田とその中間の大船渡、『気仙』と呼ばれる3つの地域で力を合わせれば災害の負担も軽くすることができるのではないですか。そんなことからも、私たちの活動を『けせん・ありがとうプロジェクト』と名付けました」という。
 経費などは手弁当。被災して、これからどれだけお金がかかるのか、仕事はどうなるのか、それぞれ不安も抱えていたが、それでもメンバーたちは「お金を出してでも実現したい」という想いがあった。そして売り上げからは、活動資金が不足しているといわれているボランティア関係に寄付をしたいとも思っていた。

さまざまな人の協力も得て、寄付も実現

 販売を始めたのは活動を開始してからわずか半月後の8月1日。お父さんが大船渡市出身という埼玉在住のデザイナー、葵花織(あおい かおり)さんのサポートを得て、3市町のシンボルと全地区名をデザインした手ぬぐいを制作した。
6、7日には大船渡市内のショッピングセンターで約800本を完売。その前にも「ありがとう手ぬぐい」の発売を知った方が直接斎藤さんに連絡し、200本の購入があった。1,000本もの手ぬぐいを毎晩メンバーたちが袋詰めしたが間に合わず、友だちや、仮設住宅で暮らす人たちにも手伝ってもらった。
 「そうしたら今度は、この活動が地域にも役立つということがわかったのです」
 多くはないが、受け取った賃金でおかずが一品増えた、ラーメンを食べに行った…。震災前はふつうにしていたことを奪われてしまった人たちに、ささやかな幸せが増えたのだ。

 手ぬぐいはこれまでに4,000本を売り上げ、11月に入ってから絵はがきも販売している。そして、大船渡市と陸前高田市に5万円の寄付と、(社)オール・ハンズには差し入れとして実現。今後も引き続きボランティア団体等への寄付も予定している。

さらに「ありがとうプロジェクト」から枝分かれした、内職を軸とした「ピース・ワーク」(produced by けせん・ありがとうプロジェクト)を始動する予定。
まずのれんの制作から開始し、地元の復興商店で利用してくれる店舗には無料配布する。Webでの販売も視野に入れている。

 震災から半年以上が過ぎた今、ボランティアの数も減ってきてさびしい感じも否めないが、自立もしていかなければならない。沿岸に湿ったドカ雪が降るころ、大震災から1年という節目を迎える。悲しい日ではあるけれど、その日を目指して何か新しいグッズを作りたいという。「おかげさまで、ここまで立ち直りました」というメッセージを込めて。

ことばでは言い尽くせない「ありがとう」を形に表したくて

けせん・ありがとうプロジェクトのレビュー

レビューはまだありません。