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有機農業が浸透していないころ、雑草だらけの田んぼ…と笑う人もいました。
しかし、板垣農場の苗は、草に負けない力を持った苗。
たくさんのお米を収穫することよりも、質のいい、味のいいお米を作りたい。これが板垣農場のお米作りです。

岩手県花巻市、田畑に囲まれた自然豊かな場所に板垣農場さんはあります。

板垣農場さんは、6代続く歴史ある農家。
4代目板垣亮一さんは、「銀河鉄道の夜」「注文の多い料理店」等の作品で有名な花巻出身の作家、 宮沢賢治から農業の教えを受け、6代目の光彦さんの代になった今もなお、宮沢賢治の米作りを受け継ぐ唯一の農家です。

板垣農場さんの商品全てに「白金の雨」という名前が付けられています。
これは、宮沢賢治の実弟 宮沢清六さんから、精神歌の一節よりいただいたものです。
宮沢賢治の教えを受け継ぎ、守り伝えていることを意味するものです。

板垣農場のお米は、特別栽培米と有機栽培米があります。

特別栽培米とは、化学合成された農薬や肥料の使用を低減することを基本とします。

条件
  • 化学合成農薬の使用回数が50%以下、化学肥料の窒素成分量が50%以下で栽培する。
もちろん、農薬、肥料双方の節減が必要です。
板垣農場では、化学合成農薬が当地比7割減、化学肥料が当地比8割減と、有機栽培米に近い環境で栽培を行っています。

有機栽培米は特に基準が厳しく、農薬、化学肥料を一切使用せず、土の持っている力を最大限に引き出す栽培方法で育てたお米のことを言います。

条件
  • 堆肥などで土作りを行い、種まきや植え付けをする2年以上、農薬、化学肥料を使用していない土地を使用する。
  • 遺伝子組み換え技術を使用しない。
  • 生産から出荷までの生産工程管理や有機JASマーク貼り付けなど、記録を作成する。

自分の田んぼや畑が有機栽培の基準に達していても、周りからの農薬が飛んできてしまう環境では、有機栽培の認定はおりません。
また、水害によって他の田んぼとつながってしまったときなど、農薬や化学肥料を使用した土地と同じ条件になってしまい、以降3年間は、有機認定はおりなくなるなど、とてもとても厳しいものなのです。

JASマークは、実はとても厳しい基準をクリアしたものだけに付けられる証ということを消費者の私たちは認識しなくてはいけないんですね。
この認定は、毎年行われ昨年認可されたからといっても翌年も簡単におりるとは限らないのです。

土の健康(肥料作り) 籾種の消毒 疎植 除草作業

土の健康(肥料作り)

肥料作りから始まる土作り。
6代目板垣光彦さんは、発酵のプロ。杜氏の資格を持ち、農業における発酵肥料作りにその技術を生かしています。

米ぬかに、米のとぎ汁の乳酸菌を加え攪拌すると発酵が始まり、数日後には60度にまで温度が上昇します。
徹底した温度管理を行い板垣農場の大切な発酵ぼかしが出来上がります。

このぼかしを、土に混ぜ約半月から1ヶ月後、微生物が活発に活動しはじめます。
有機の田んぼや畑は、微生物のおかげで地中の温度が2、3℃高いので、冷害などの異常気象の時にも、影響を受けることは、ほとんどないといいます。
今から15年ほど前に起きた、平成の大飢饉と言われた冷夏の時も、板垣農場さんの田んぼは、まったく影響を受けなかったそうです。

籾種の消毒

籾種の消毒は、温湯浸法と呼ばれる方法で行っています。
薬品などは一切使用せず、60℃のお湯で10分間浸けることにより殺菌します。
機械の温度設定で管理しているので、常に一定の温度で消毒することが可能です。
田植えの際、一般的には「稚苗」を植えるのですが、板垣農場さんでは、苗を更に成長させ、三葉期を過ぎた「成苗(せいびょう)」を植え始めます。
こうすることで、地温が高い時に幼穂を合わせることができるので育ちがよくなります。

疎植

板垣さんは疎植(そしょく)と呼ばれる、普通の植え方よりも間隔を空ける方法で苗を植えています。
疎植により一株一株の根元まで陽の光が入っていくため、大きく丈夫な苗に育ちます。
これは、宮沢賢治からの教えの一つです。

除草作業

無農薬で、農作物を育てるのは、虫との闘い、雑草との闘いがあります。
除草の作業もまた、とても大変な作業です。
大きな除草の機械を使ったこともありましたが、機械の重量で田んぼの土が固まってしまうことから、 時間も、手間もかかるのですが、手押し除草機でコツコツと雑草と闘うことにしたそうです。
そして、もう一つの方法は、ぬかを撒くことです。
この方法は、雑草に酸素が行き渡らなくなって枯れると共に、肥料となって還元することができます。
ぬかによる除草は、撒く時期を間違えると大変なことになるので、気が抜けない作業の一つです。

生き物のたくさん集まる田んぼ

板垣さんの田んぼには、鴨などの鳥たちが自然と集まってきます。
それは、本当に安全な田んぼだからです。
「鳥は本当に良いものが分かっているから集まってくる」とのこと。
薬を使って殺虫しなくても鳥が虫を食べてくれるので、自然と農薬いらずになります。

様々な苦労を経て、秋に黄金色に輝く、美味しいお米が収穫されます。
有機栽培米を育てるということは、私たちが考えるよりはるかに大変なことだと改めて感じました。
大切に思いを込めて育てた安心安全のお米を、私たちはありがたいという気持ちでいただかなければいけないなぁ…と。

アーティストファームのコンサート

光彦さんの奥様、アヤ子さんは音楽家。
板垣農場にはいつも音楽が流れています。
「苗に音楽を聞かせたら、元気に育ってくれるみたい!根拠もないんですが…」といいながらも、永年、苗の成長を見てきたプロの目から見ても音楽を聞かせた苗と、そうでない苗の伸びが明らかに違ったそうです。
音楽は、人間だけでなく、動植物にもいい影響を与えるのですね。

ここ数年、種まきの時期にコンサートを開いていましたが、今年は、葉が三枚出てからの「三葉期」に行いました。三つ子の魂百まで…
様々な思いをこめて、コンサートは行われます。

取材後記

板垣さんのお米は、粒張りの良いお米。
苗はもちろん、肥料から土の具合まで徹底的に管理し、お客様の手元に安心してお届けできるようにしています。
板垣さんのポリシーは「量より質!味の良い米を作りたい!」とのこと。
取材をさせて頂いた時も、素人の私たちにも分かるように丁寧にお話してくださいました。
農家の方と向き合ってお米について聞くのは初めてでしたが、こんなにも農薬を使う、使わないということが大変な事なのだと、米作りの奥深さを知りました。
板垣さんご夫婦もとてもお人柄が良く、こんなに良い人達に育てられたらどんなにおいしいお米なんだろうとお腹が鳴ってしまいました(笑)
毎日食べるお米だからこそ、安心して食べられるものを皆さまの食卓に並べてみてはいかがでしょうか。

炊き方

最初にお米を研ぐ時や炊き上げるときに美味しい水を使用するだけで、ご飯の味が一段と美味しいものになるそうです。
ポイントは「水」ですね!
また、お米と水の温度を同じにするとふっくら美味しいご飯になるとか。
現代は、精米技術が発達しているので、ゴシゴシお米を洗うのはNG。
かえって旨味が逃げてしまいます。
水は少し多めに炊くのがコツです。

保存方法

保存するときは、冷蔵庫が一番。 米びつで管理する場合は、最初に米びつを綺麗に洗ってからお米を入れてください。 中にタカのつめやにんにくをひとかけら入れるのも良いそうです。 お米は一ヶ月くらいがおいしい目安になります。